ヤシオオオサゾウムシとは
ヤシオオオサゾウムシ(Rhynchophorus ferrugineus)は国内に定着している大型のゾウムシで、東南アジア原産のコウチュウ目の昆虫です。
幼虫は"サゴワーム"や"ココナッツワーム"と呼ばれ、東南アジア、アフリカ、中南米の熱帯・亜熱帯地域で好んで食べられており、人気の高い食材です。自然発生した個体だけではその需要を満たすことができないことから、原産地域では養殖も進められています。
バターで揚げるとヘーゼルナッツのような味がし、ベトナム王朝時代には王様の食卓にだけ供された、高貴な食材だったという歴史も残っています。
近年の研究によって脂肪酸が豊富であることも示され、栄養価に優れた食材として注目を集めています。
宇宙食の可能性
タイのチュラロンコン大学では、サゴワームを将来の宇宙食として利用するための本格的な研究が行われています。
地球からの補給なしで、最長3年間の宇宙ミッションに耐えうる、安全かつ栄養価の高い食材として注目を集めています。
記事タイトル:Sago Worm Billed as Astronaut Food(宇宙飛行士の食料として注目されるサゴワーム)
掲載日:2022年10月5日
URL:https://www.chula.ac.th/en/clipping/87992/
なぜ、ヤシオオオサゾウムシなのか?
① 豊富な栄養価
幼虫はタンパク質と良質な脂質が非常に豊富で、過酷な宇宙環境にいる宇宙飛行士の貴重なエネルギー源になる。
② 効率的な生産システム
密閉された小さな飼育環境(エコシステム)の中で、最小限の水分や餌で効率よく繁殖させることができる。
③ 廃棄物の最小化
3Dフードプリンターなどの技術も組み合わせ、昆虫の飼育から加工、消費、そして廃棄物のリサイクルまでを自己完結させる「相互依存型ミクロエコシステム」を提案し、宇宙船内でのゴミをほぼゼロに抑えることができる。
サゴワームが"美味しい"理由
① ベトナム(フエ)の王様の大好物
フエはベトナム最後の王朝(グエン朝)の都として栄えた古都で、1802年〜1945年の143年間に渡って続き、1993年にはベトナム初の世界遺産(文化遺産)に登録されました。
サゴワームはフエの王様の食卓にだけ供されていた歴史のある食材として知られ、当時貿易で交流のあった北京の皇帝に対して3年ごとの貢物としても贈り、皇帝は大変喜び、もう一度贈るよう命じたと言われています。
② 安心・安全なエサ
サゴワームはココナッツやサゴヤシといった植物組織(糖分やデンプン質)を食べて育ちます。
当社が養殖するサゴワームは、人間が食べるものと同じ品質の材料を与えて飼育しています。
③ 濃厚でクリーミーな味わい
良質なヤシの油分やデンプン質を栄養にしているため、幼虫の体はたっぷりの脂肪分で満たされています。
食材としてのポテンシャルが高いことから、ガストロノミー(高級美食)や一般向けのスナック、プロテインパウダーへの加工に適していると言われます。
参考文献